24 Dec 2008
Buon Natale e Felice Anno Nuovo

196○年 12月 クリスマス
その家には、4歳の女の子と6歳の男の子が暮らしていました。
その家では、クリスマスにプレゼントを用意するという習慣はありませんでした。
もしかすると、国内ではまだクリスマスプレゼントの習慣が広がってはいなかったのかもしれません。
12月中旬、その子の家では、もみの木に似た木を庭から掘り起こし、大きな大きなバケツに植え替えて、オーナメントと綿と電球で飾り付けをしていました。
クリスマスの夜は、夕ご飯が済むとケーキが出て来ます。
バタークリームの大きな大きなデコレーションケーキです。
女の子は、子供のくせに甘いものが大キライで、ウエハースで出来たサンタのお家を食べただけでおしまいにしてしまいました。
クリスマスだからと言って、海外の子供のように夜更かしをする事は許されません。
ケーキを食べてお風呂に入ったら寝る準備です。
クリスマスの日も普通の日と同じように過ごすのです。
お風呂に入った二人の兄妹は、お母さんに連れられ一つの布団にもぐり込みました。
寝室の電気が消され、お母さんが出て行きました。
シーンと静まり返ったなか、男の子が小さい小さい声で女の子に話しかけてきました。
男の子「今日幼稚園で友達から聞いたんだけど、クリスマスの日に、欲しい物をお手 紙に書くと、サンタさんがプレゼントをしてくれるらしいんだ」
女の子「えっ、本当?サンタさんはどこから来るの?」
男の子「トナカイに乗って、お手紙を書いた子供のおうちにやってくるんだよ。煙突 から入ってくるんだって」
女の子「へぇ〜」
男の子「サンタさんにお手紙を書こうよ、何が欲しい?」
女の子「突然言われても、何が欲しいかわかんないよ。。。」
男の子「・・・、じゃ〜、オルゴールにしようよ。オルゴールだったら、二人で寝る 時に一緒に聞けるし」
女の子「うん、オルゴールにしよう!オルゴールがいい!」
小さな灯りの下で、男の子がサンタさんに「オルゴールを下さい」と、お手紙を書きました。そして二人の枕元に置きました。
翌朝、男の子が興奮した声で女の子を起こしました
男の子「ねぇ、起きて!起きてよ!サンタさんが来たよ!サンタさんからのお手紙が あるよ!読むからね」
○○くん、○○ちゃんへ
『オルゴールは、べつのこのところにとどけちゃったので、もってくることができませんでした。ごめんなさいね。かわりにおかしをプレゼントします。ふたりでなかよくたべてください サンタより』
男の子と女の子の枕元には、お菓子とみかんが二つずつ置いてありました。
女の子は大人になった時、お母さんに聞いてみました。
私が幼稚園に行く前の頃、お兄ちゃんと二人でサンタさんに「オルゴールを下さい」って手紙を書いたら翌朝、オルゴールは別の子にあげちゃったからって、お菓子が置いてあったんだけど、あれってお母さんが置いてくれたんでしょう?
お母さんは、笑ってそっぽを向きながら「何の事?覚えてないけど」って・・・。
4歳の私が、兄とワクワクしながら布団の中で手紙を書いた時の気持ち、
翌朝サンタさんからの手紙を発見した時の嬉しかった気持ちは
今でも鮮明に覚えています。
とても寒い朝でしたが、キラキラした朝でした。
当時は、簡単に物が買える時代ではありませんでした。
それでも、お金では買えない物を沢山得る事が出来る時代だったと思います。
その時の事を思い出すと今でもあたたかい気持ちが蘇ります。
大人になって随分の年月が経ちますが、
子供の時の気持ちをいつまでも忘れずに持ち続けたいと願うのです。
『世界があたたかい気持ちでいっぱいになりますように』
▲ by sole-e-luna | 2008-12-24 01:11 | やさしい時間 | Comments(12)